「幻のスミレ」増殖に成功

「幻のスミレ」増殖に成功　中部電、国内で初めて

2013.10.24 14:27

登山愛好家の間で「幻のスミレ」と呼ばれ長野県内にしか生育していないとされる絶滅危惧種「タデスミレ」の人工増殖に、中部電力の研究員が国内で初めて成功したことが分かった。送電設備の維持管理の一環として除草や伐採をしている同県内の山林沿いでタデスミレが発見され、自然保全に役立てようと研究に取り組み技術を確立させた。

　生態があまり知られておらず、増殖の成功事例もないため除草や伐採が生育に悪影響を与えていないかも確認した。中部電はタデスミレの研究を同県の希少野生動植物保護回復事業で実施。まず生育状況を調べた結果、除草や伐採で日照環境が改善され、生育を促進していることが分かった。

　その後、自生地から採取した種子を使った試験を進め実験室の温度や期間を４段階に分け種子を管理すれば発芽率が高まると確認。発芽後も温度や光、土など条件を管理して育てれば、安定的に増殖できると解明した。増殖したタデスミレを自生する山林内に移植したところ、ほとんどが根付き、花や実もつけた。

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